豆乳は牛乳が飲めない子供の救世主!? 含まれるカルシウム量や栄養素を徹底調査!
Contents
カルシウムは豆乳でも摂れる?効果や含有量はどれくらい?
骨の成長を助け、骨や歯を丈夫にするカルシウム。カルシウムは、成長期の子供はもちろん、大人になっても欠かすことのできない栄養素の一つです。そんなカルシウムを摂取しようとしたとき、必ず候補にあがるのが「牛乳」です。しかし、牛乳を飲むとお腹が痛くなる人・体質的に合わない人もいますよね。
そんな方によくすすめられるのが「豆乳」です。カルシウムを含む栄養補助食品を試したことがある方なら、説明書に「牛乳または豆乳などで割ってお飲みください」なんて記述を見たことがあるかもしれません。女性の中には、豆乳は高タンパク低カロリーであることから「美容に良い」と好まれる方も多いですよね。
では、子供に飲ませる場合、牛乳と豆乳のどちらが良いのでしょうか? 気になる疑問を調査していきましょう。
■豆乳の種類は大きく分けて2種類
豆乳には、無調整豆乳と調整豆乳の2種類があり、この2つの違いは以下のように定められています。
・無調整豆乳
大豆固形分8%以上かつ大豆タンパク質3.8%以上で、原料の大豆と水だけを使ってつくられているもの
・調整豆乳
大豆固形分6%以上かつ大豆タンパク質3.0%以上のもので、砂糖や塩や乳化剤・香料を入れてより飲みやすいように調製したもの
※参照 農林水産省
http://www.maff.go.jp/j/kokuji_tuti/kokuji/k0001426.html
■豆乳に含まれる栄養素を知ろう!
続いて、豆乳に含まれる基本的な栄養素を見てみましょう。
・カルシウム
無調整豆乳ならコップ1杯分(200ml)あたり30mg、調整豆乳なら62mgのカルシウムを含んでいます。1日に必要なカルシウム摂取量は平均640g。無調整豆乳なら21杯弱、調整豆乳なら6杯強で摂取することができる計算です。
ただし、後述する「カルシウムで豆乳を摂る際に気をつけたいポイント」での、大豆イソフラボンの過剰摂取に当たるため、食事と合わせてバランス良く摂取する必要があります。
・たんぱく質
豆乳に含まれる大豆は「畑のお肉」と呼ばれ、肉や魚に匹敵するほど豊富にたんぱく質を含んでいます。大豆たんぱく質は、体内で作り出すことのできない必須アミノ酸が豊富に含まれている良質なものです。また、低カロリー高たんぱく質で、基礎代謝を活性化させる効果があります。加えて、コレステロール値の低下や動脈硬化の予防など身体に嬉しい効果が目白押しです。
・脂質
豆乳には100gあたり2gの脂質が含まれています。脂質はエネルギー源であるとともに、ビタミンの吸収を助ける働きがあります。
牛乳の脂質は、100gあたり3.8gと豆乳に比べて脂質が1.8g多く含まれています。そのため、ダイエット中の女性からは、牛乳と比べて低脂質&高たんぱくな豆乳がカルシウム摂取のための代用品として選ばれています。
・炭水化物
豆乳には100gあたり3.1gの炭水化物が含まれています。炭水化物は、体の主要なエネルギー原です。
・マグネシウム
豆乳には100gあたり25mgのマグネシウムが含まれています。マグネシウムには、カルシウムの吸収を助ける効果があります。
・ビタミンB群
豆乳は、疲労回復効果のあるB1や細胞の新陳代謝を促すB2などビタミンB群を豊富に含んでいます。
・食物繊維
豆乳100mlあたり0.2gの食物繊維が含まれています。食物繊維は、便通を整える働きがあります。ほかにも、糖尿病や肥満などの生活習慣病を予防する効果があると言われています。
■ここからは、豆乳ならではの栄養素!
・イソフラボン
大豆に含まれるイソフラボンは、大豆イソフラボンと呼ばれるポリフェノールの一種で、女性ホルモンに似た構造をしています。そのため、更年期障害の予防や美肌効果が期待できます。さらに、カルシウムが骨から流出するのを助けることから、骨粗鬆症にも効果があると言われています。
・サポニン
サポニンは、血液中にある余分な脂質を取り除く働きがあります。また、抗酸化作用があり、老化のもととなる身体の酸化や動脈硬化を防いでくれます。
・レシチン
レシチンには、脳や新陳代謝の活性化作用があります。また、脂質の量をコントロールしてくれるため、ダイエット効果が期待できるほか、心臓病や動脈硬化などの生活習慣病の予防にも効果があるといわれています。
牛乳の代わりに豆乳にしても大丈夫?カルシウム量やカロリーを比較
果たして豆乳は牛乳の代わりになるのでしょうか? 豆乳(無調整・調整)と牛乳をカルシウム量・マグネシウム量・たんぱく質量・カロリーの4つのポイントで比較してみましょう。
【100gあたりのカルシウム量】
できる限り多くの量を摂りたいカルシウム。豆乳と牛乳、それぞれ100gあたりのカルシウム量を比べてみると、牛乳が豊富にカルシウムを含んでいることが分かります。
牛乳に含まれるカルシウム……110mg
無調整豆乳に含まれるカルシウム……15mg
調整豆乳に含まれるカルシウム……31mg
牛乳は、無調整豆乳のおよそ7倍、調整豆乳のおよそ3倍のカルシウムを含んでいます。カルシウムを1品で多く摂取することを目標とするならば、牛乳での摂取をおすすめします。ただ、豆乳に含まれるカルシウム量が特別少ない訳ではないため、様々な食品と合わせて摂取することで豆乳でも一定量のカルシウムを補うことができます。
【100gあたりのマグネシウム】
カルシウムを摂取する上で、カルシウムの吸収を助けてくれるマグネシウムの摂取は欠かせません。豆乳と牛乳のマグネシウム量を比べたところ、豆乳に含まれるマグネシウムは、牛乳のおよそ2倍であることが分かりました。
牛乳に含まれるマグネシウム……10mg
無調整豆乳に含まれるマグネシウム……25mg
調整豆乳に含まれるマグネシウム……19mg
【100gあたりのたんぱく質】
マグネシウムと同じく、たんぱく質はカルシウムの吸収を助ける働きがあります。豆乳と牛乳のたんぱく質を比べるところ、ほぼ同じ量を含んでいました。
牛乳に含まれるたんぱく質……3.3mg
無調整豆乳に含まれるたんぱく質……3.3mg
調整豆乳に含まれるたんぱく質……3.2mg
牛乳の動物性たんぱく質は、体内で作ることのできない必須アミノ酸を豊富に含んでいます。対する、豆乳の大豆たんぱく質は、植物性たんぱく質のなかでも豊富に必須アミノ酸を含んでおり、低カロリー&低脂質。体にとっては、どちらも合わせて摂ることが理想的です。
【100gあたりのカロリー】
子供に飲ませる場合、カルシウム量はもちろんのこと、カロリー面も気になりますよね。豆乳と牛乳のカロリーを比べたところ、1番カロリーが低いのは無調整豆乳でした。
牛乳に含まれるカロリー……66.9kcal
無調整豆乳に含まれるカロリー…45.9kcal
調整豆乳に含まれるカロリー……64.1kcal
豆乳のカロリーを牛乳と比べると、無調整豆乳なら21kcal、調整豆乳なら2.8kcal低い計算になります。調整豆乳には、味付けのために砂糖や水飴が含まれていることが多く、無調整豆乳より18.2kcal高くなります。
子供にはしっかりとカロリー・栄養素を摂ってほしいところですが、肥満にも気をつけたいところ。豆乳は低カロリーで栄養素を豊富に含んでいるため、たくさんの栄養素を摂取してほしい子供にはおすすめです。
※参照 日本食品標準成分表
豆乳: http://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=04_04052_6
牛乳: http://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=13_13003_6
■豆乳でもカルシウムは摂取できる!
結果、摂取できるカルシウム量は牛乳が圧倒的に多いことが分かりました。しかし、豆乳は、カルシウム量が決して低いわけではない上に、様々な栄養素が豊富に含まれていることから、体に良い効果をもたらしてくれる+αの要素があります。
つまり、牛乳や乳製品が体に合わない人は、豆乳でカルシウムを摂取しても問題はありません。ただし、カルシウム摂取量を考えて、他のカルシウムを含む食品を合わせて摂ると良いかもしれません。
カルシウムを含む食品は、【カルシウムをたくさん含む食品はどれ?カルシウムを効率よく摂り入れるための食事の秘訣】こちらの記事で紹介していますので、合わせてチェックしてみてくださいね!
カルシウムを豆乳で摂る際に気をつけたいポイント
■大豆イソフラボンの過剰摂取に注意!
豆乳でカルシウムを摂取できることが分かったところで、摂取の際に気を付けてほしいポイントがあります。それは、1日の摂取量。豆乳に含まれる大豆イソフラボンは、1日の摂取量が70~75mgまでと食品安全委員会が定めています。これは、毎日食べ続けた場合の数値のため、1度の食事でオーバーしたくらいでは問題ないそうです。
大豆イソフラボンは、女性ホルモン・エストロゲンと似た働きを持つため、過剰に摂取するとホルモンバランスが乱れることも。とくに、女性の場合は、子宮の疾患や月経不順を起こす可能性もあるそうです。また、妊娠中の過剰摂取は胎児の遺伝子に影響が及ぶ可能性も懸念されています。
大豆イソフラボンは、納豆1パック(50g)に約35mg、豆腐1丁(300g)に約60mg、豆乳1パック(200g)に約50mgが含まれています。1度の過剰摂取が直ちに被害をもたらすわけではありませんが、毎日の摂取量には気をつけましょう。
■大豆アレルギーではないのにアレルギー症状が起こる!?
国民生活センターによると、カバノキ科(シラカンバ、ハンノキ等)の花粉症の人が豆乳を飲んだ際に、「アレルギー症状が起こった」という報告があったそうです。これは、大豆がカバノキ科の花粉と似た“アレルゲンタンパク”と呼ばれるたんぱく質を含んでいることからアレルギー反応が起きたそう。
カバノキ科の花粉症の方は、豆乳を飲む際には少量ずつ試して様子を見る注意が必要です。また、果物アレルギーの方も同様のアレルギー反応が起こる可能性があるそうなので注意しましょう。子供がアレルギーかどうか分からない場合も、同様に少量試してみるか、病院などで検査をしてみてくださいね。
ちなみに、納豆などの加工度の高い大豆製品の場合は、上記のアレルギー反応がでることはほとんどないそうです。
※参照 国民生活センター
http://www.kokusen.go.jp/mimamori/mj_mailmag/mj-shinsen180.html
カルシウムを豆乳で摂るなら適量を心掛けよう(まとめ)
豆乳は、カルシウムを始め多くの栄養素を含む質の高い飲み物です。牛乳が飲めない子供の場合は、豆乳を摂りいれてカルシウムの摂取量を補うこともできます。ただし、豆乳の過剰摂取は、ホルモンバランスを乱す原因となることがあるので、適量を心掛けて摂取するように気を付けましょう。