酢酸カルシウム
酢酸カルシウムは、白色の結晶、または粉末で、かすかに酢酸独特の、あの酸っぱいにおいがする物質です。日本ではあまり身近ではない酢酸カルシウム、その特徴などについて解説します。
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特徴
化学式(CH3COO)2Caで表される化学化合物です。水に溶けやすく、空気中の成分ともわずかに反応して吸湿します。
諸外国では、食品におけるカルシウム栄養強化やpHの調整などを目的としての食品添加物の利用が一般的ですが、日本では現在あまり使用されていません。
用途や、取り扱う上での注意点を紹介します。
酢酸カルシウムについてのあれこれ
用途
・食品添加剤 ・アセトンの材料 ・皮膚治療剤
取り扱い上の注意点
海外では食品添加物として一般的な物質のため、取り扱いも比較的簡単です。食品添加物として適切に用いられれば、摂取量に制限等はありません。
製造方法
水酸化カルシウムを水に溶かした水溶液と酢酸を1:1で混合し、得られた水溶液を時間をかけて蒸発させる方法が一般的でしたが、近年は生石灰と酢酸から製造する方法が確立されつつあります。
食品添加物としての使用例
2013年12月、それまでは海外でしか認められていなかった酢酸カルシウムの食品添加物としての使用が、ついに日本でも認可、開始されるようになりました。
体脂肪合成抑制剤として
酢酸カルシウムは、近年、体脂肪合成抑制剤としての注目も集まっています。酢酸カルシウムに含まれる酢酸成分が、人体内で体脂肪が作られたり蓄積するのを抑え、生活習慣病の予防に効果があると考えられています。
皮膚治療剤として
感染性湿疹,滲出性皮膚病などの場合、皮膚を乾燥させる収斂薬として酢酸カルシウムが用いられることがあります。皮膚表面のたんぱくを沈殿させ、皮膚を収縮させることで乾燥させ、患部の回復を助けます。
日本での利用はまだ限定的
皮膚治療のための外用薬としては以前から用いられてきましたが、日本で食品添加物として、使用できるようになってからまだ日が浅いため、国内での食品への使用が依然限定的です。しかし、カルシウム栄養強化、pH調整のほかに、上記で紹介した生活習慣病の予防効果、血糖値上昇の抑制効果などがあるため、食品添加物として、そして医薬品として今後注目が高まっていくことは間違いありません。