硝酸カルシウム
硝酸カルシウムと聞くと、どんなものを思い浮かべますか?硝酸と聞くとなにか少し怖いイメージを持つかもしれませんが、自然界からも生成する物質です。ここでは、硝酸カルシウムの特性や製造方法、利用法について解説します。
特徴
化学式Ca(NO3)2で表すことができます。可燃物と接触すると急激な酸化力で発熱・発火・爆発するためとても危険です。また、空気中の水分とも反応するほど水に溶けやすいので、通常は密栓して保存します。
硝酸カルシウムについてのあれこれ
用途
・肥料 ・花火の火薬
取り扱い上の注意点
酸化力が強いので、直接触れないように、また、水に溶解した際には急激に発熱するので注意が必要です。結晶自体は無色透明です。万が一経口摂取した場合は腹痛、めまい、吐き気、意識の喪失などが生じます。作業中の飲食および喫煙は厳禁です。また、長期保存は湿気を吸着する性質上不向きです。
製造方法
自然界では、バクテリアの作用により有機物を分解する際に発生することがあります。工業的には水酸化カルシウムを硝酸によって中和することで生成します。
肥料としての使用例
硝酸カルシウムに含まれている窒素は、一般的に販売されているアンモニア系窒素よりも植物が直接吸収しやすい窒素であるため、アンモニア系の肥料よりも即効性があります。さらに、カルシウム欠乏によるトマトやピーマンなどの尻腐れを防ぐなど、ハウス栽培の野菜や果実などの肥料に多く用いられています。
その他の使用例
硝酸カルシウムは燃焼の際に鮮やかなオレンジ色の炎をだします。そのため、花火の火薬にも用いられています。
注意は必要だが農業ではとても有用
硝酸カルシウムは、取り扱いを誤ると危険なため、注意が必要ですが、肥料としての効果がとても高いため農業の場面では頻繁に用いられています。特に収穫の追い込み時期には必須の肥料です。カルシウムにより植物の細胞を強化し、茎や葉を強くすることで病害虫への抵抗を高めます。また、意外なところではゴム手袋を製造する際に凝固剤として使用されることもあります。最終製品として私たちの手元にくることはありませんが、硝酸カルシウムを使用した製品は私たちの身近にも存在します。