炭酸水素カルシウム
炭酸水素カルシウムは、私たちの身近にどういった形で存在しているのでしょうか。ここでは、意外なところで利用されている炭酸水素カルシウムの特徴やその用途などを紹介します。
特徴
化学式で Ca(HCO3)2 で表される物質です。固体として存在することが出来ないので、常に水溶液中にしか存在しません。
石灰石などの炭酸カルシウムに水と二酸化炭素を流し込むことで生成します。
炭酸水素カルシウムの用途
・着色料 ・強化剤 ・増粘安定剤
取り扱い、服用上の注意点
現在、食品添加物としての利用は認められていませんので、大量に摂取する可能性は非常に低いですが、水道水の中にわずかに含まれています。水道水中に含まれる炭酸水素カルシウムは微量のため、飲用しても人体に影響はありません。
自然界での炭酸水素カルシウム
自然界でも、炭酸水素カルシウムは生成されています。洞窟などに存在する石灰石の上を、二酸化炭素を含んだ水が通過すると、石灰石がとけだし炭酸水素カルシウムとなります。これが、鍾乳洞とよばれる大きな穴です。そこに、こんどは天井から炭酸水素カルシウムがポタポタと落ちてくると、途中で水と二酸化炭素が抜け、今度は逆の反応をして固体となります。これが、一般的に鍾乳石と言われる白っぽいつららの様なものになります。また、石筍と言われる上向きの柱状のつららも同様の物質です。
炭酸水素カルシウムの利用法
炭酸水素カルシウムの利用法の特徴は、そのミネラルです。沿岸地域や乾燥地域などの飲料水を入手するのが困難な地域において、海水等を蒸留して飲料水を確保していますが、輸送中に腐食してしまったり、ミネラル分がないために口当たりの悪い水となってしまいます。これを、炭酸水素カルシウムを添加することで再ミネラル化すると、飲用することができます。
そのほかの利用法
ゴムやプラスチック製品の強化剤としても、利用されています。プラスチック製品を重合させる際に、反応を促進するための触媒として用いることが多いです。
重合とは
簡単な構造の化学物質が、2つ以上くっついて大きな化学物質に変化することです。たとえば、ポリエチレンはエチレンという化学物質が反応して、複数のエチレンが連なって作られた物質です。この反応は、自然には起こりづらいので、触媒とよばれる反応促進剤を添加して、反応を促します。