沈降炭酸カルシウム
沈降炭酸カルシウムは、胃酸過多の際の中和剤としてよく用いられる物質です。ここでは特徴やその用途、取り扱う際の注意点などをご紹介します。また、意外なところでの使われ方についても紹介します。
特徴
化学式は炭酸カルシウムと同一で、Ca3COと表されます。炭酸カルシウムよりも微細な結晶であることが特徴です。軽質炭酸カルシウムと表現されることもあります。
水酸化カルシウムが溶解した水溶液に、二酸化炭素のバブルを通すことで製造されることが多いです。胃潰瘍や胃酸過多症に有用ですが、大量に摂取すると便秘を招くことがあるので注意が必要です。
沈降炭酸カルシウムについてのあれこれ
用途
・制酸剤 ・ゴムの充填剤 ・食品添加物
薬として用いられる際の副作用
胃液を中和する機能があるため、胃潰瘍や胃酸過多症に薬として一般的にとり入れられますが、過剰に摂取すると便秘を招くことがあります。また、長期投与により腎結石、尿路結石の副作用が生じる場合があります。但し、通常の処方の範囲内であれば、健康に特に影響はありません。
食品添加物としての注意点
上記にもあるとおり、通常摂取の範囲内であれば健康に悪影響を及ぼすことはないため、食品添加物として含まれていても恐れる必要はありません。吸収性がよいのでカルシウムの摂取を目的として栄養強化のために添加されることが多いです。
特徴
石灰石を粉砕して得られる炭酸カルシウムに比べ、沈降炭酸カルシウムは粒子の大きさや形状を一定に制御することができます。また、不純物が少なく、白色度が高いのも特徴です。
使用例
一般的な制酸剤としての使用のほか、白色度が高いことを利用して、おしろい、ローションなど化粧品類の顔料としての用途もあります。歯磨き粉の研磨剤として含まれている製品もあります。
意外な使用例
意外なところでは、製紙分野でも幅広く活用されています。たばこの巻紙に20%程度混ぜ込むことで紙の気孔度を加減し、たばこの葉と同じ燃焼速度になるように調整するために用いられたり、紙の白さをアップさせたり、通常の製法でつくると酸性になりやすい製紙を中和することができるので、新聞紙などよりもボロボロになりにくい、長期保存に適した上質紙に用いられています。
たいへん身近な物質です
胃腸のトラブル時に役に立つのはもちろん、化粧品、製紙など、身近な場面で活用されています。近年急激に用いられるようになった物質ではなく、古くから私たちの身近に存在する化合物です。近年ではさらに。ゴム製品の充填剤に用いられ補強効果や加工性が得られるなど、活躍の場を広げようとしています。