クエン酸カルシウム
クエン酸カルシウムとは、あまり生活に馴染みはありませんが、じつは意外と身近な食品に使われています。ここでは、その特徴や注意点、使用法を紹介します。
特徴
クエン酸カルシウムは、Ca3[C3H4(OH)(COO)3]2という非常に複雑な構造をした、クエン酸とカルシウムの化合物です。通常は白色の粉末で、においはありません。
水にほとんど溶けない点を利用して肥料に用いられることもあります。
食品には、豆腐や中華麺を固めるために、かんすいとして利用されます。
クエン酸とは
クエン酸とは、レモンやオレンジなどのかんきつ類に多く含まれる有機酸の一種です。かんきつ類の酸味はクエン酸由来のことが多く、食品添加物に酸味として利用されることが多いです。また、水垢除去のためも利用されます。このとき、白い水垢にクエン酸水溶液を塗布すると、クエン酸カルシウムが作られ、水で流すと簡単に除去されます。
クエン酸カルシウムの用途
・食品添加物 ・サプリメント
取り扱いの注意点
薬としての服用時の副作用として、胃腸の膨張感が挙げられます。また、他のカルシウム系の薬と同様に消化器系に、便秘などが顕われることがあります。食品添加物として利用される分には、大量に摂取しても人体に影響はありません。
薬としての利用法
骨密度が低下してくる高齢者の方向けのサプリメントとしての利用が一般的です。食事と同時の摂取以外でも吸収性が良く、胃酸の分泌が悪くなってくる高齢者には、同様の効果といわれている炭酸カルシウムよりも若干高価になりますがクエン酸カルシウムを用いる場合が多いです。
食品添加物としての利用法
クエン酸カルシウムは、豆腐を作る際に豆乳を固めるために凝固剤として用いるほか、ハムやソーセージ、かまぼこなどをまとめる際のつなぎとして添加されます。また、独特の塩系の味と有機酸系の味を持っているので、調味料として添加されることもあります。食品に添加する際の個別表示は義務付けられていないため、調味料として一括表示されています。
そのほかの利用法
そのほか、クエン酸カルシウムは農業用の肥料として利用されることがあります。水に溶けにくい性質のため雨などで流れにくく、肥料としての効果が持続する特性があります。さらに、クエン酸と結合したカルシウムは薬害がなく、直接、根や葉から吸収することができるため無駄なエネルギーを消費することなく植物内に取り込むことが出来ます。